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研究成果:木材から断熱性と耐火性を抽出した純天然イミテーションガスゲル

2023/2/9 11:52:00 3

エアロゲル

木材は用途の広い材料と豊富な資源として、低密度、低熱伝導、良好な機械性能と持続可能性などの特性を持ち、数千年にわたって使用されてきた。近年、木造に対する認識に基づいて、独特の物理的性能と広く応用されている木材模倣材料も開発されており、その中でも、優れた保温性能を持つエアロゲルは重要な研究課題の一つである。プラスチックと樹脂に基づくイミダムエアゲルは生分解性の差によって制限され、廃棄物の蓄積と環境問題をもたらす。一方、既存のナノ構造要素に基づくイミダムエアゲルは、その持続性の不足とコストの高い制限を受けている。そのため、現在の材料の持続不可能性問題を解決するために、低コスト、低エネルギー消費、環境保護の新しい構築基盤を開発することは、イミテーションエアロゲルの発展に重要な役割を果たすだろう。

このほど、中国科学院院士で中国科学技術大学教授の兪書宏氏のチームは、天然バイオマスと天然鉱物を原料としたボトムアップ戦略を用いて、優れた断熱性と耐火性を持つ純天然イミテーションガスゲルを製造したと報じた。関連研究成果はAnall-natural wood-inspired aerogelと題し、『ドイツ応用化学』に発表された。

研究者は巧妙な表面化学制御方法を用いて、温和な条件下でミクロンスケールの木屑粒子表面を活性化し、それによってセルロースナノ繊維を露出することを実現した(図1 a)。これらの粒子表面のナノ繊維は粒子間の相互作用を著しく増強し、一方向冷凍技術と結合して強靭で耐久性のあるイミテーションエアロゲルを構築した。このエアロゲルは天然木材と類似した配向通路構造を有している(図1 b−g)。同時に、このような木材構造はエアロゲルの熱伝導率を低下させ、17.4 mWm−1 K−1の超低径方向熱伝導率を有し、既存のセルロース系エアロゲル材料及び各種商用スポンジ(図2 a−c)より優れている(図2 a−c)。さらに、天然粘土ナノシートを添加することにより、このエアロゲルの耐火性が大幅に改善され、1300℃の高温の火炎に少なくとも20分間耐えられ、焼かれないようになった(図2 d-h)。

この全天然イミテーションガスゲルの断熱性と防火性能は天然バシャノキとほとんどの商業スポンジより優れており、既存の商業断熱材の理想的な代替品になることが期待されている。また、全天然イミダガスゲルの天然の原料源と低エネルギー低排出の製造技術は、良好な生分解性と持続可能性を持たせ、断熱材の生産、使用、廃棄の過程における環境へのマイナス影響を減らすことができる。

研究活動は国家重点研究開発計画、国家自然科学基金重点プロジェクト、中国大学協同革新計画、安徽省科学技術重大特別プロジェクト、中央大学基本科学研究業務費特別資金、安徽省重点研究開発計画プロジェクトなどの支持を得た。

  

図1.全天然ガスゲルの製造と構造。(a)木屑粒子の表面ナノ化と木造構造構造の構造過程の概略図、(b−d)天然木材及びその配向通路構造、(e−g)全天然スポンジ及びその配向チャネル構造。

  

図2.全天然ガスゲルの断熱性と防火性。(a)全天然ガスゲルの断熱性能と報告されたセルロース基と木基ガスゲルの比較、(b)Ashby図は全天然ガスゲルの断熱性能と各種商用スポンジの比較を示した、(c)全天然ガスゲルの優れた断熱性能のメカニズムを熱放射、熱対流、熱伝導の3つの伝熱形式から説明する、(d−g)火炎焼灼を経たイミテーションエアロゲルの異なる部位のミクロ構造、(h)高温炭化後のエアロゲル径方向と軸方向の熱伝導率の変化。


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