英国メーカー、欧州からの買いだめ対応で工場の生産活動が鈍化

フィナンシャル・タイムズ紙によると、英国のメーカーはサプライチェーンが突然の中断に直面することを懸念し、10月末のEU離脱期限までに在庫再建を行っているため、工場の生産活動が減速しているという。

経済予測およびビジネスコンサルティング機関IHS Markitの9月の製造業購買担当者指数（Purchasing Managers'Index、PMI）は8月の47.4から48.3に上昇し、ロイター（Reuters）エコノミストらの予想をやや上回る47に悪化した。データ発表後、ポンドは小幅に上昇したが、PMI指数が50を下回ったことは、多くの企業の生産活動が縮小していることを示している。

9月の製造業活動の収縮状況は予想より温和で、一部は工場の買いだめ再開に起因している。IHS MarkitのRob Dobson会長によると、一部のメーカーは、顧客が来るEU離脱期限のために商品を買い占めていることに気づき、EU離脱に対応して生産ラインを外された顧客と対照的だという。現在も製造業の在庫活動は予定されていたEU離脱3月29日の準備を下回っており、在庫活動が活発でないのは9月の立法成立による合意なきEU離脱阻止法案の影響ではないかと推測されている。

コンサルティング会社Pantheon MacroeconomicsのエコノミストSamuel Tombs氏によると、国内の顧客はEU離脱の不確実性や政治的不安定性の下で投資を避けることができ、全体の注文量は縮小している。欧州の顧客はサプライヤーや企業を英国から移し、新たな輸出注文は6カ月連続で減少した。また、世界的な不況の中で、英国の製造業は生産能力を削減し続ける可能性があり、大きな突破はあり得ない。